ヘリコバクターピロリ菌と胃がんの関係|軽部病院|下妻市下妻乙の胃腸科・外科・内科・肛門科・整形外科・小児科

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ヘリコバクターピロリ菌と胃がんの関係

ヘリコバクターピロリ菌と胃がんの関係|軽部病院|下妻市下妻乙の胃腸科・外科・内科・肛門科・整形外科・小児科

         

2025年4月29日

​こんばんは。

​以前ヘリコバクター・ピロリ菌(以下ピロリ菌と記載します)についての記事で、今度ピロリ菌と胃がんの関係についてお話しますね、と言ったきり記事を上げていなかったので本日はピロリ菌と胃がんの関係についてのお話です。

ピロリ菌と胃がんの関連性:

日本における胃がん患者の約9割がピロリ菌が関連する胃がんであると報告されています。つまりピロリ菌感染が日本人における胃がん発症の主な要因であるということです。

びっくりですよね!

胃がんの主な原因が感染症だったなんて・・・

他にも子宮頸がんはウィルス感染が原因であることもわかっており、最近ではワクチンの接種が勧められるようになりましたね。

日本国内では、将来の胃がん予防を目的として、中学生を対象にピロリ菌検査を実施する自治体もあります。
🏙️ ピロリ菌検査を実施している主な自治体としては、
八戸市(青森県)、 横須賀市(神奈川県)、糸魚川市(新潟県)、松阪市(三重県)、川西市(兵庫県)、弘前市(青森県)などです。
これらの自治体では、ピロリ菌感染の早期発見と除菌治療を通じて、将来の胃がんリスクを低減することを目的とした取り組みを行っています。

また、最近の論文では、2023年に**『The New England Journal of Medicine』**に発表された日本の大規模研究(Usuiら)によると、ピロリ菌感染と特定のがん関連遺伝子の病的変異の両方を持つ場合、胃がんのリスクが飛躍的に高まることが明らかになりました。

具体的には、

  • ATM, BRCA1, BRCA2, PALB2といった相同組換え修復遺伝子に病的変異を持つ人がピロリ菌に感染していると、85歳までの胃がんを発症する累積リスクは45.5%も上昇するとのことです。(感染していても遺伝子異常のない人のリスクは14.4%)

つまり、遺伝子異常を持つ人がピロリ菌に感染すると3倍以上も胃がんのリスクが上がるということです。

しかし、事前に遺伝子検査を受けるというのは現実的ではありませんので、まずピロリ菌に感染していないかどうかを調べることが重要ですね。

ただここで注意が必要なのは、ピロリ菌に感染していることがわかったところでピロリ菌を除菌すればそれでいいのか?ということです。

ある程度の年齢の場合、今の時点ですでに胃がんがあるかもしれないのです。胃がんがあるのに除菌だけしても胃がんが治るわけではないので、まず胃カメラを受けて胃がんがないかどうかを調べることが重要なのです。

胃がんがないことを確認したうえでピロリ菌に感染しているのであれば除菌治療を受けるようにすることが重要です。

除菌治療は1週間薬を飲んでもらいます。

その後2か月程度たったところで除菌判定をします。除菌治療の成功率が100%ではないからです。もし除菌不成功だったら、2次除菌といって、抗生剤の種類を変えて、再度1週間薬を飲んでもらいます。その後また2か月たったら除菌判定をします。

ここで、また問題が・・・

ピロリ菌を除菌したらもうそれで大丈夫か?というと、そんなことはないのです。

除菌後の発がんというものがあるのです。

なのでピロリ菌感染の既往があった方は、まんがいち胃がんができても早期で発見できるように定期的に胃カメラを受けていただくのがよいでしょう。

当院では、希望があれば鎮静剤を使用して患者様にとって負担の少ない胃カメラ検査を提供しております。​また、ピロリ菌の検査や除菌治療も行っており、感染の有無や治療の必要性についても丁寧にご説明いたします。

まとめ
ピロリ菌感染は、日本人における胃がん発症の主要なリスク要因です。しかし、定期的な胃カメラ検査と適切なピロリ菌の管理により、胃がんの早期発見・予防が可能です。​ご自身の健康を守るためにも、ぜひ一度、胃カメラ検査を受けてみてはいかがでしょうか。​
ご不明な点やご相談がございましたら、いつでも当院までお問い合わせください。

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