大腸カメラ
大腸カメラ
「二木会」は全国に800人以上の大腸内視鏡医が参加している大腸内視鏡挿入法を勉強する会です。「自分が診ている患者様、施設から大腸がんで亡くなる方を出さない」を活動理念とし、全国津々浦々への質の高い大腸内視鏡検査の普及、さらには大腸がん死亡の減少を目的としています。その中で大腸内視鏡挿入法の講演や実際に検査を行いながら会員の医師に挿入法の指導を行う会でデモンストレーターを担っています。
友明先生は、早期がんに対する内視鏡治療・ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)の第一人者であるNTT東日本関東病院の大圃研先生が主催する大圃流エンドサロンに大腸内視鏡挿入法の教育動画を提供しています。
鎮静剤・鎮痛剤を使用した大腸カメラが一般的になった現在、患者様にとって大腸カメラは決してつらい検査ではなくなりました。しかし、患者様が鎮静剤によって痛みを感じないからといって腸管に無理なテンションがかかってしまう挿入法は穿孔や迷走神経反射などを引き起こすリスクがあります。そこで当院の友明先生は、腸管にできるだけテンションをかけない「腸に優しい大腸内視鏡検査」をコンセプトにした「ノンループ法」という挿入法を提唱して、安全で苦痛が少なく、質の高い大腸カメラを提供しています。
少しでも大腸内視鏡検査について調べたことがある方は、軸保持短縮法という名前を見聞きしたことがあると思います。日本中の大半の大腸内視鏡医がこの方法を基本的な考え方として検査を施行しています。しかし、この軸保持短縮法を習得するのは非常に難しく、多くの経験と時間が必要でした。友明先生は、この軸保持短縮法の謎を解き、長年難しいとされてきた大腸内視鏡挿入技術の言語化を実現し、挿入理論・方法論をわかりやすくまとめた「カール先生の大腸内視鏡挿入術」(医事新報社)を出版しました。全国の多くの若手内視鏡医にも支持していただいております。英語版も刊行されており全世界の内視鏡医にも読まれています。
ノンループ法は、できる限り腸にテンションをかけないでスコープを盲腸まで挿入する方法なので腸への負担が少なく、鎮静剤を使わなくても痛みや不快感の少ない方法です。しかし、腸管の長さ、内臓脂肪の多さ、癒着の有無など患者様のおなかの中は千差万別、患者様によっては痛みを伴ってしまうことがあります。それは検査をしてみないとわかりませんので、基本的には全員鎮静剤を使用しての大腸カメラをおすすめしています。もちろん希望がなければ鎮静剤を使用しないでの大腸カメラも可能です。鎮静剤を使用する場合は、鎮静剤の種類や量をそれぞれの患者様によって使い分けしオーダーメイドな検査を提供します。
通常大腸の中は便汁(泥状の便)や肛門近くになっていくと固まった便が残っています。大腸カメラは大腸の中を観察する検査ですので、大腸の中に便が残っていると何も見えませんし、安全な検査が不可能です。そのために検査の前に前処置が必要です。腸管洗浄液という下剤を飲んで腸の中をきれいに洗浄します。この前処置は人によっては大変かもしれませんが、当院では数種類の下剤を用意しており、味、飲む量など違いがありますので、事前の説明のときに相談してください。
大腸カメラ検査中にポリープを発見した場合、その場で切除することが可能です。
大腸ポリープには腫瘍性のポリープと非腫瘍性のポリープというものがあります。腫瘍性のポリープは良性と悪性に分けられ、悪性の腫瘍性のポリープ=“がん”です。大腸で発見されるポリープの多くは良性の腫瘍性のポリープで腺腫というものです。腺腫は将来大きく育っていくと一部ががん化する可能性を持っています。どの大きさから治療するべきかは意見が分かれるところではありますが、当院では小さな腺腫のうちから切除してきれいな大腸(クリーンコロン)を保つようにすることを基本方針としています。
大腸ポリープ切除後にはある一定の確率で術後出血の起こる可能性があります。現在では従来の電気を通して焼き切る方法ではなく、通電せずにポリープを切除するコールドポリペクトミーという方法が広く普及しています。1cm以下の大腸ポリープが適応とされています。通電しないため火傷を起こすことがないので術後出血のリスクが低いと言われています。
1cm以上の大きなポリープ、もしくはがんが混じっている可能性があるようなポリープは粘膜下に生理食塩水を注入して筋層から粘膜を浮かせて通電しながら焼き切ります。
大きな有茎性(キノコのような形)のポリープは茎の中に太い血管が入っていることが多く出血しないような工夫をして通電して切除する必要があります。
出血のリスクが高いときは1泊程度の入院が必要な場合もありますが、当院では入院施設を有しているので、その場で切除することができます。
通常の切除の仕方では一括切除が困難なポリープなど、当院での切除が難しい場合や粘膜の下までがん細胞が浸潤している可能性が高いポリープの場合は適切な基幹病院に紹介させていただきます。
どんな小さなポリープでも出血のリスクを0にすることは不可能ですので、術後3日間はお酒、激しい運動を控えていただきます。食事も消化の良いものを摂取してください。万が一便器が真っ赤になるぐらいの出血があった場合は電話をして指示に従ってください。紙に血がついた、便に少し血が混じっている程度の出血であれば心配ありません。
当院の内視鏡システムはFUJIFILM社製7000システムです。
最先端の内視鏡システムで、高出力4LED光源で多彩な観察モードを提供、炎症の診断や微小な病変の発見を支援する内視鏡システムです。
白色光観察
Multi-Light Technology
LEDやレーザーなどの複数の光源を高精度に制御するとともに、画像処理を組み合わせることで、目的に応じた観察画像を作り出す技術。
LCI観察
赤色を強調してわずかな色の違いを強調します。
がんの早期発見につながります。
BLI観察
粘膜表面の構造や微小血管を強調します。
当院では土曜日の午前中も大腸カメラを受けていただくことが可能です。お仕事などで平日に来院するのが難しい方はご利用ください。
健康保険 1割負担 |
健康保険 3割負担 |
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大腸カメラ 検査のみ |
約2,500円 | 約7,500円 |
大腸カメラ+ 病理組織 検査 |
約3,500〜5,500円 | 約10,000円〜20,000円 |
大腸カメラ+ 大腸ポリープ 切除 |
約10,000円〜13,000円 | 約28,000円〜36,000円 |
上記費用は全て税込価格です。また、上記費用とは別に初診、再診料、薬剤費などが必要です。
上記費用はおおよその金額です。使用するお薬などで費用が変わる場合もございます。
病理組織検査は組織をとった部位、臓器数により料金が異なります。
大腸ポリープ切除は日帰り手術に該当します。医療保険の手術給付金の支払い対象となることが多いので保険会社にお確かめください。
予約
大腸カメラを受けるには予約が必要です。事前に受診をして予約をとってください。必要な問診、採血があります。
検査前日
検査前日は、大腸検査用の検査食(ダルムスペース)のみお召し上がりください。水分はこまめに摂取してください。夕食は夜9時までに終えてください。それ以降も水分摂取は可能ですので、脱水にならないように水分補給をしてください。透明で糖分の含まれない水、お茶、麦茶、ほうじ茶などにしてください。
お酒は控えてください。
お薬を飲んでいる方は、制限のある薬があるので事前の診察時に相談し、指示に従ってください。
検査当日朝
自宅で下剤を服用される方は朝6時ごろから下剤(腸管洗浄液)を服用してください。用法用量は指示に従って服用してください。服用中気分不快、腹痛など異常があれば病院に電話をかけて指示に従ってください。下剤服用後にも水分は適度にとっていただいて構いません。透明で糖分の含まれないものにしてください。
検査予約時間の30分前には来院してください。
検査中
検査の順番がきたら検査用のパンツに着替えていただきます。
鎮静剤を使用する場合、ベッドに左側臥位で横になってから、血圧測定、血中酸素濃度測定の機械を装着します。準備ができたら鎮静剤を注射して検査開始となります。
弱めの鎮静剤の場合は、途中仰向けになったり対位変換をすることがありますのでご協力ください。腹部を圧迫してスコープをたわまないようにすることもございますので、不快感などあれば遠慮なくおっしゃってください。
完全に寝てしまうような鎮静剤の場合は、肛門にスコープを挿入した時点で仰向けになっていただき、それから鎮静剤を注射して検査を開始します。
鎮静剤を使用しない場合は、画面を見て説明を聞きながらの検査が可能です。
検査終了後
鎮静剤を使わない場合でも15分程度リカバリー室で休憩していただきます。医師が説明に伺います。問題なければ会計に回っていただきます。会計を済ませてからお帰りになってください。新たにお薬が処方となった場合は処方箋が出ますので、受け取ってから薬局によって薬をもらってください。
鎮静剤使用の場合は検査終了後30分(鎮静剤の種類によっては1から2時間ほど)リカバリー室で休んでいただきます。鎮静剤の効果が完全になくなってから医師が説明に伺います。説明を聞いてから会計に回ってください。
検査後の食事・運動
検査後は消化の良いものを摂取してください。当日のお酒は飲まないようにしてください。翌日から制限はありません。
大腸ポリープを切除した場合は、3日間は消化の良いものを摂取してください。お酒も3日間は飲まないでください。4日以降も7日目までは飲みすぎには注意してください。3日間は激しい運動も控えてください。
病理検査・大腸ポリープを切除した方
2週間後以降に外来に受診して結果をお聞きください。
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