肛門科
肛門科
おしりの病気を相談するのは「はずかしい」という気持ちが先立って受診を控えてしまう方が多いようです。当院では患者様の「はずかしい」気持ちに考慮した診察を心がけています。どんな病気もそうですが、おしりの病気も早い段階であれば軽い治療で改善することが多いので、おしりに不安がある方は早めに相談にいらしてください。
各病気を知る前に正常な肛門のしくみを勉強してみましょう!
肛門は非常にうまくできていて、空気や水が漏れないようにできています。これは筋肉のしまりだけでは不可能です。肛門の内側に細い静脈が集まって柔らかいクッションのような組織を形成している部位があります。そのクッションのおかげで空気も水も漏れないようになっているのです。
普段からいきみすぎるような排便をしていたり、便秘、下痢などの排便習慣の悪さであったり、妊娠・出産、立ちっぱなし、座りっぱなしの仕事などでこのクッション部分がうっ血して病的に腫れてしまい腫瘤となったものが痔核(いぼ痔)です。
ここからは各病気について勉強していきましょう!
直腸と肛門の境目を歯状線といいますが、それより内側の痔核を内痔核、外側の痔核を外痔核と呼びます。内痔核と外痔核の中間(肛門管内)の中間痔核と呼ばれるものもあります。
肛門括約筋に首を絞められると、急激に腫れて嵌頓痔核と呼ばれる状態となる恐れがあります。激しい痛みを伴いますので速やかな受診をおすすめします。
注入軟膏、座薬、内服薬による保存的治療
保存的治療が有効でなければALTA(ジオン)注射治療、手術治療
保存的治療を継続しつつ手術治療、ALTA(ジオン)注射治療、併用治療
保存的治療を継続しつつ手術治療
当院では患者様の希望に添えるように治療方針は相談しながら決定します。
1、2泊の短期入院手術から7日程度の長期入院手術に対応します。
手術とは違って切らないので術後の痛みはほとんどありません。
ジオン注射治療が向いていない痔核(外痔核はできません)がありますので、術前の診察で患者様と相談したうえで適切な方法を提案させていただきます。
手術による根治術より再発率が高いというデータがあります。
ジオン注射治療は内痔核治療研究会の認定を受けた医師のみが行うことが出来る治療です。
術中は腰椎麻酔や局所麻酔をかけることで肛門括約筋がゆるんで肛門の中がよく観察できるようになります。術前では診断しきれなかった状態もわかることがあり、その場合は術式を変更することもあります。
当院では患者様の希望に添えるように治療方針は相談しながら決定します。
1、2泊の短期入院手術から7日程度の長期入院手術に対応します。
肛門の外側のいぼ痔。肛門の外側の細い血管の集まりがうっ血し、腫れた状態。
知覚のある部位が腫れるので痛みを伴います。
血マメができた状態
一時的な腫れで痛みを伴いますが、時間とともに落ち着いてきます。
通常は注入軟膏や内服薬で保存的に治療しますが、腫れがひどく、痛みが強い場合は局所麻酔を打って中の血マメを取り除くと楽になります。日帰り手術で対応します。
肛門の外側の皮膚がたるんでいる状態
病的な意味合いはありませんが、どうしても気になる場合は局所麻酔下に切除することも可能です。日帰り手術で対応します。内痔核も伴う場合は短期入院手術で対応します。
硬い便や太い便が出たときに裂ける急性裂肛と裂肛を繰り返して潰瘍化し、治りにくい創になってしまった慢性裂肛に分けられます。慢性裂肛には見張りいぼ・肛門ポリープを伴うことがあります。
知覚のある部位に傷ができるので痛みを伴う場合が多く、切れた創なので出血を伴うことが多いです。
急性裂肛には痛み・出血を抑え、創傷治癒を促進する作用を持つ注入軟膏を使用します。
長い間裂肛を繰り返していると創の跡が固くなり肛門狭窄(肛門が狭くなり通常の太さの便が出なくなる)になることがあります。その場合は手術が必要です。
難治性の肛門潰瘍となり痛みが治らなくなってしまった場合も手術の適応です。
裂肛は予防が大切です。
食事・運動習慣を改善し、必要ならば緩下剤や下剤をうまく利用して便通を改善し、肛門を切らせないことが重要です。
肛門の内側には直腸のなかを潤わせるための粘液をつくる肛門腺というものがあります。そこに細菌が侵入し感染がおこると、ひどくなると膿がたまってしまうことがあります(膿瘍といいます)。この肛門周囲の組織内に膿がたまった状態を肛門周囲膿瘍といいます。
肛門周囲が腫れて(深いところにたまった膿の場合は表面からは腫れに気が付かないこともあります)通常強い痛みを伴います。感染がひどい場合は発熱を伴うこともあります。膿瘍の圧が高まるとおしりの皮膚が破裂して(自潰といいます)自然排膿することがあります。排膿していない場合は局所麻酔下に切開して膿をだす処置をします(切開排膿)。
まず、肛門の周囲が化膿して膿が溜まり、腫れて痛み、ときには38~39℃の熱が出ます(肛門周囲膿瘍)。溜まった膿が出て、膿のトンネルができると痔ろうになります。
下痢などにより歯状線にある肛門陰窩に下痢便などが入り、細菌に感染して起こります。特に体力が弱っていたりすると、便の大腸菌に感染し、化膿しやすくなります。
細菌の入った穴から皮膚の外に膿が出た穴まで膿の通る管(トンネル)が出来た状態を痔ろうといいます。痔ろうは自然治癒することはないので根治手術が必要です。入院での手術となります。複雑痔ろうといってトンネルが何本も複雑に形成された状態の痔ろうの場合、当院での手術は難しいので信頼のできる適切な施設へご紹介します。
飲酒量が多く、慢性的に下痢、軟便の男性に多い病気です。再発する恐れもあるので、飲酒を控え排便習慣を改善して予防することが重要です。
よく私は痔持ちだからといって、おしりから出血があっても様子をみてしまう方がいらっしゃいます。痔だろう、痔だろうは危険です。大腸に病気がないかどうかは必ず確認することをおすすめします。
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