大腸がんは早期発見がカギです ― 便潜血検査の有用性について|軽部病院|下妻市下妻乙の胃腸科・外科・内科・肛門科・整形外科・小児科

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大腸がんは早期発見がカギです ― 便潜血検査の有用性について

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2025年7月08日

今回は大腸がんについてのお話です。

大腸がんはここ数十年で急増しており、特に女性では死因のトップに、男性でも上位に位置しています。

大腸がんの最新統計

🔍 男女別の最新データ(日本)

指標男性女性合計
罹患率(10万人あたり、2021年)141.4件105.9件123.2件
新規罹患者数(2021年)86,271人68,314人154,585人
死亡率(10万人あたり、2022年/2023年)47.4人40.4人43.8人
死亡者数(2022年)28,099人24,989人53,088人

男性は年10万人あたり約141人、女性は106人が大腸がんに罹患しており、

男女とも主要ながんの一つです。

死亡率は男性47.4人/10万人、女性39.8〜40.4人/10万人で、

なんと!年間5万3千人以上の方が大腸がんで命を落としているのです。

しかし、大腸がんは「早期に発見すれば高い確率で治癒が望めるがん」と言われていますので過度に怖がる必要はありません。

そしてその早期発見の鍵となるのが「大腸がん検診」です。

現在日本では、**便潜血検査(免疫法)**が広く行われています。

便潜血検査って知っていますか?

便潜血検査は、便の中に微量の血液が混じっていないかを調べる検査です。大腸がんやポリープなどがあると、便に血液が混じることがあるため、これをスクリーニングすることによって病気の可能性を早期に察知することができます。

この検査は、自宅で採便して提出するだけの簡単な方法ですので、みなさん是非受けてくださいね。

実際に、便潜血検査の有効性は多くの研究で確認されています。

死亡率を30〜40%低下させるエビデンス

1. Mandel JS et al., (1993)

  • タイトル:Reducing mortality from colorectal cancer by screening for fecal occult blood.
  • 雑誌:New England Journal of Medicine(NEJM)
  • 結果:11万人を対象としたRCTにて、年1回の便潜血検査で33%の大腸がん死亡率の減少

2. Nakajima M et al., (2003)

  • タイトル:Randomized controlled trial to evaluate the effectiveness of immunochemical fecal occult blood screening for colorectal cancer.
  • 結果:2日法(2回採便)による免疫法便潜血検査が、大腸がんによる死亡リスクを有意に低下。

3. Shaukat A et al., (2013)

  • タイトル:Long-term mortality after screening for colorectal cancer.
  • 雑誌:NEJM
  • 結果:便潜血検査の長期的効果を追跡し、30年近くにわたって死亡率低下を確認

もちろん便潜血が陽性の結果になってしまった場合は大腸内視鏡検査を受けなければダメですよ。

症状がないからと言って様子をみてはいけません。

もう一度便潜血検査を受けようとするのも意味がありません。

必ず大腸内視鏡検査を受けてください。

内視鏡検査により、がんだけでなく、将来がんになる可能性のある「腺腫性ポリープ」も発見・切除することができ、予防的な意味でも非常に重要です。

大腸内視鏡検査って、痛いんでしょう?って怖がって受けない方もまだまだ多いのが現状ですので、

次回は大腸内視鏡検査の重要性についてお話します。

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